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Q&A

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白内障手術をすると今まで見えていなかったものが見えるようになって怖いと言っている友達がいます。そうなのですか。

その通りです。怖いぐらいによく見えます。
手術を受けるまでは白内障のために視界がぼやけているため、飛蚊症があっても気が付かないことが多いようです。しかし白内障の手術を受けるとはっきりと物が見えるようになるため、軽度の飛蚊症でさえ気になるようになります。手術後格段に見え方が改善するので顔のシワも一本一本見えるようになるため、奥さんや旦那さんの見えなかったシワも見えるようになり歳をとったんだなあと感じる方も多いです。これはテレビが4K、8Kと高画質時代になって昔は美しかった女優さんたちのシワを化粧などではごまかすことができなくなったのと同じです。ただ一つ注意して欲しいのはもともとあった飛蚊症ではなく、白内障の手術をすることで数日後網膜剥離が発症することがあることです。その場合緊急手術が必要となるので、術後に飛蚊症がある場合念のため網膜剥離に伴う飛蚊症も疑って眼底検査を受けるようにして下さい。網膜剥離は放っておくと進行して失明してしまうこともある病気なので、早期に手術を行ってもらった医師に申し出て治療を受けてください。 最後に白内障手術後の飛蚊症は決して手術の失敗ではありません。

緑内障ってなんですか。

緑内障は眼圧のために、視神経が死んでいく病気です。
眼球の中の水圧(眼圧)によって網膜の神経線維が圧迫されて栄養物の運搬が障害されると、その神経線維は死んでいきます。これが緑内障という病気なので、眼圧を下げる目薬を使用して眼圧を下げてやれば緑内障の進行が止まります。だから眼圧が高い方は視野検査を受けてもらって緑内障で神経線維が死んで見えなくなっている視野がないか検査を受けて下さい。視野に異常がない方も今後緑内障を発症する可能性があるので、定期的に眼圧検査と視野検査を受けて下さい。現在利用されている緑内障の目薬は強力で多くの場合点眼するだけで眼圧は下がり視野欠損の進行は止まります。なので視野欠損が発見されてからで緑内障の治療の開始は十分だと考えます。緑内障にはもうひとつ正常眼圧緑内障というタイプのものがあります。このタイプは眼圧が正常範囲内におさまっているのに、その低い眼圧に神経線維が圧迫されて緑内障を起こすものです。このタイプもさらに眼圧を下げてやれば緑内障の進行は止まるので、ふつうの緑内障と同じように視野欠損が起こった時に点眼を開始します。緑内障、正常眼圧緑内障ともに疑いのある患者さんは定期的に通院していただいて、緑内障の診断がついたらすぐに点眼治療を開始してもらうのが良いと思います。

目薬は続けてさしてもいいですか。

いけません。
目薬を連続してさしてしまうと先に点眼した目薬は流されてしまい十分な効果が得られなくなってしまいます。そのため複数点眼する場合一定時間おいてから次の点眼を行う必要があります。点眼した目薬は時間の経過とともに薄くなっていき5分後には最初の20分の1程度の濃度になっています。そのため5分間隔で点眼していけば先に点眼した目薬は5分間の間に十分に吸収されており期待する効果は得られるものと考えます。だから5分間隔で3種類の目薬をさしていけばよいのですが、待っている5分間の間に他のことをして持っていると点眼すること自身を忘れたり、5分間じっとして待っているとそのまま寝てしまったりする事があると聞きます。こうならないためにキッチンタイマーを利用してもらったらいいんじゃないかと思います。ちなみに私もカップ麺をつくるためにお湯を沸かすときネットをして待っていて鍋のお湯がなくなりそうになった事があったので今はキッチンタイマーをセットしています。セットするようになってからお湯がなくなりそうになって驚くことはなくなりました。

パソコンをよく使用しますが、ブルーライトカットメガネがいいですか。

その眼鏡を使って楽になるなら、使用して下さい。
パソコンなどの画面を見て視力低下を起こしたり眼精疲労を訴える患者さんが多いことは事実です。ブルーライトは自然光の中に含まれる普通の青色の光であり、この光が目に悪いという証拠もないですが目に悪くないという証拠もありません。ただブルーライトカット眼鏡を使って目が楽になったという患者さんがおられる事も事実です。パソコン画面の明るさが原因でこの現象が起こっている可能性もあり、パソコン画面の輝度調整を行うことで同じ効果が得られると主張している方もおられます。結論としてはブルーカット眼鏡を使用することで楽になると感じるのであれば使用すればよいし、効果を感じないのであれば止めたほうが良いと思います。全光からブルーをカットすると黄色く見えて自然ではない見え方になるので効果のない方にはお勧めしません。私の経験ではこの眼鏡を使用することで視力低下や眼精疲労が治ったという症例はありませんので視力低下や眼精疲労が軽減される程度を期待して使用していただくのが良いかと思います。

最近トンネルに入ると見にくくて怖いです。夜盲でしょうか。

眼科で検査しないとなんとも言えません。
私も運転中トンネルに入って何にも見えなくてビビった事があります。少しすると見えてきたのでなんとか安心することができました。夜盲(とりめ)で有名なのはビタミンA欠乏症。光が見えたと感じるのはビタミンAから作られるロドプシンが必要なのでビタミンAが欠乏すると夜盲が起こります。そのためビタミンA欠乏症による夜盲はビタミンAを補給すると治りますが、自己流で治療して過剰に摂取するとビタミンA過剰症という副作用が起こってしまいますので医療機関による治療を受けて下さい。他に眼の病気で夜盲を起こすものがあって、網膜色素変性症・眼底白点症・小口病・狭義先天性停止性夜盲などがあります。網膜色素変性症は進行性の疾患で徐々に視野が狭窄していき最終的に失明してしまうこともあります。眼底白点症・小口病・狭義先天性停止性夜盲は進行しません。夜盲ではありませんが何らかの原因で瞳孔の反応が悪くなっても似たような症状がでます。眼球の中に入ってくる光の量は虹彩によって瞳孔が大きくなったり小さくなったりすることで調整されます。何らかの原因で瞳孔が小さいままになってしまうと夜盲に似たような症状がでます。夜盲かなと思ったら一度眼科を受診してください。

十代からコンタクトを使っていますが、一生使い続けられますか。

使い続けることができる方とそうでない方といます。
大丈夫かどうかはコンタクトの使い方次第です。もともと角膜には血管がないため、血液を通して酸素を受け取ることはできません。血液の代わりに涙を通して酸素を受け取っているので、コンタクトをつけると酸素不足を起こしやすく、角膜の細胞が死んでしまう現象が起こりやすくなります。その現象を起こさせないためには、①コンタクトをつけたまま寝ないことは大事です。寝ている間は瞬きをしないためコンタクトの下の涙は交換されず、ひどい酸素不足を起こしやすいです。②長時間のコンタクト装用は避けるべきです。軽い酸素不足状態でも長時間に及ぶと細胞のダメージが大きくなります。③酸素透過性の高いコンタクトを選ぶ。同じ時間使用してもダメージが少ないからです。④汚れたコンタクトは使用しない。汚れたコンタクトは動きが悪くうまく涙液交換ができません。⑤目に合ったカーブのコンタクトを使用する。カーブが合っていないと涙液交換がうまくできません。⑥ドライアイの方は使用時間を短くするが使用を諦める。ドライアイでは涙液交換がうまくできません。①~⑥すべてが全て守られていればコンタクトがつけられなくなるという事は起きないと考えます。現状どの程度角膜が傷んでいるかが心配な方は、角膜内皮細胞の数を調べればわかるので、検査を受けていただくことをお勧めします。

人間ドックで視神経乳頭陥凹拡大を指摘されました。これってなんですか。

視神経乳頭陥凹拡大がある場合、緑内障である可能性があります。
人間ドックで視神経乳頭陥凹拡大で再検査の紙をもらって来院される患者さんは結構多いです。まず視神経乳頭陥凹とはどんなものでしょう。眼球の中には網膜という光を感じる神経の膜がありそこから脳に送られる神経線維がのびています。その神経線維は後ろで一つの束になり脳につながっています。外から眼球の中を見るとその束は円形で中心にくぼみがあります。そのくぼみを視神経乳頭陥凹と呼びそのくぼみが大きくなっているのを視神経乳頭陥凹拡大といいます。その乳頭陥凹拡大があると、視神経が死んだため神経線維が死に拡大したのではないかと疑われます。そうなる病気で最も有名なものは緑内障です。この病気は進行すると最後は失明します。高血圧や糖尿病の患者さんが進行すると脳出血や脳梗塞や心筋梗塞で死に至ってしまうことがあるのと同じです。というわけで軽く考えたりしないで眼科には必ず受診してください。ただし陥凹拡大=緑内障ではないので気を落としたりはしないでください。生まれつき陥凹が大きく、視神経が死んだわけでもないのに拡大したように見える場合や、高度近視のために拡大しているように見える場合も多いです。緑内障であるかどうかを判定するには視野検査やOCT検査などを行います。視野検査で緑内障特有の視野欠損があれば緑内障の可能性は高いです。OCT検査は視神経の厚みを調べる検査で、薄くなっていれば緑内障が疑われます。緑内障の治療は主に点眼治療になるので(いきなり手術することはないので)安心して眼科受診をしてください。

白内障の手術をすると見えるようになりますか。

もちろん見えるようになります。
驚いたことに白内障手術直後より見えるようになります。昔の白内障手術だと今のような精巧な機械もなく切開創も大きかったので、術後の炎症が強くすぐに見えるようにはなかなかならなかったのですが、今の機械はとても良くなっているし、術式もすぐれたものとなっています。現在の白内障手術は濁った水晶体の濁った部分を超音波で砕きながら吸引除去し、適切な度数の人工水晶体を挿入します。そのレンズの度数が不適切だと見にくくて日常生活がとても不便になってしまいます。そうならないように、正確な術前検査を行ってもらって、適切なレンズの度数を決定してもらうことがとても大切です。例えば遠視になってしまうと裸眼では遠くも近くも眼鏡なしではピントが合いません。右眼と左眼の度数の差が大きいと、不同視といってかけられる眼鏡を作ることができません。強い近視が残った場合も常に眼鏡が必要となります。術後の合併症も昔に比べれば少なくなっていますが皆無ではありません。比較的よく起こるのは後発白内障。白内障手術したのに再び白内障になるのです。ただこの場合はレーザー治療だけで再びみえるようになるのでさほど心配する必要はありません。他には、人工レンズの脱臼・網膜剥離・嚢胞性黄斑浮腫・細菌性眼内炎などがあります。これらはちゃんと治療する必要があるため手術後変な症状がある場合すぐに眼科を受診する必要があります。

ボールが目に当たったと言って息子が帰ってきたのですが、眼科には行った方がいいですか。

もちろん行ってください。
ボールが目に当たると、虹彩がその衝撃で虹彩炎を起こしたり、眼球の中に水が溜まり眼圧が上がったり、眼球の変形により網膜の一部か破れて網膜剥離が起きたりすることが事があります。逆に眼圧が下がっている場合、最後に挙げた網膜剥離が起きていると疑われます。もともと網膜がその後ろの組織と接着しているのは、網膜の下にある水分を吸収する性質が網膜にあるからです。そのため剥離した網膜はその下にある水分をどんどん吸収して眼圧を下げます。だから眼球打撲が起こると眼圧が上がることが多いのに下がっている場合網膜剥離の合併が疑われるのです。その網膜剥離を放置すると、剥離が全体に広がってしまい失明してしまうことがあります。そうならないように早期に手術を行い網膜を復位させる必要があります。眼球打撲で網膜剥離が起きている場合、緊急入院緊急手術するのが通例です。ただ剥離した網膜は復位させても元通り見えるようにはなりません。だから網膜剥離は広がる前に治療する事が大事で、疑わしいと思った場合できるだけ早く眼科を受診してください。

緑内障であると言われたのですが、眼科には行かなければいけませんか。

定期的に受診する必要があります。
緑内障は眼球内の水圧(眼圧)が眼球内の網膜を内側から圧迫することで、神経線維を衰弱・死滅させてしまう病気です。水圧を下げれば圧迫から解放されるので、それ以上の死滅はなくなり、視野欠損の進行も止まります。そのため緑内障の治療には眼圧を下げる目薬を使用します。緑内障の目薬は点眼したその日にしか充分な効果がないため、毎日点眼し続ける必要があります。点眼し続けるうちに緑内障が完治して、それ以上点眼しなくても再度眼圧上昇が起こらなくなるというようにはならないので、ずーっと点眼しなければいけません。緑内障の目薬にはたくさんの種類がありますから、一つの目薬が効かなくなっても他の物が効くことが多いので、色々な目薬を使用して治療を続けることができます。どの目薬を使用しても十分な効果が得られない場合があります。その場合でもインプラント手術などもあり、失明を防ぐ方法があるので、定期的に眼科を受診することは大事です。眼圧検査や視野検査を定期的に受けましょう。

健康診断で糖尿病を指摘されました。眼科受診を勧められましたが必要ですか。

絶対必要です。
糖尿病になると、血液中の糖の濃度が上昇して、血管壁に取り込まれる糖が増加します。その後血糖値が下がれば、血管壁の糖は血液中に戻っていきますが、血糖値が高いままだと、血管壁に糖はとどまってしまいます。とどまる期間が長くなると、糖は血管壁と結合してしまい、血糖値が下がっても血液中に戻れなくなってしまいます。そのため血糖値が高い状態が長く続くと、どんどん糖が血管壁にたまっていきます。それに伴い血管壁は分厚くなり血管内腔は狭くなってしまいます。狭くなると血流は悪くなり網膜症など色々な合併症を引き起こします。網膜症の場合重篤になるまで自覚症状を感じることはありません。さらに自覚症状が出てからの進行がはやいケースもよくあるので、自覚症状のない時期に眼科を受診されることをお勧めします。黄斑に病変がでたり硝子体出血が起こると、自覚症状が出ますがその段階では治療を開始しても、元の視力に回復できない場合も多いので、是非自覚症状が出る前に眼科受診することが大切だと考えます。これはがん治療と同じで、ひどい症状が出てからでは治療を開始しても治療成績は良くなく、早期発見であれば治療成績が良いのと同じです。

最近涙が溢れてでたり、目頭から目やにが溢れ出たりします。病気でしょうか。

一番疑われる病気は涙囊炎です。
涙は上眼瞼にある涙腺でつくられて、それが角膜を潤したあと、目頭の上下の瞼縁にある涙小点から鼻涙管に入り、鼻腔に排出されます。その鼻涙管の途中に涙囊があり、涙小点から排出された涙は一旦涙囊に集まります。鼻涙管の閉塞や狭窄があると、涙囊にたまった涙に細菌が感染してしまい涙囊炎が起こります。そのため涙囊炎になると、涙囊の部位を押すと膿汁や汚れた涙液が逆流してきます。さらに涙囊炎がひどくなると、その部分の皮膚が赤く腫れて強い痛みを感じるようになります。診断は、涙小点から生理食塩水を注入し通過すれば鼻涙管閉塞はないと診断され、逆流する場合は閉塞していると診断されます。その逆流した生理食塩水に膿が多い場合涙囊炎に発展していると診断されます。治療は抗生物質や消毒液で洗浄したり涙道に細い針金を通したりします。この治療をしても涙囊炎を繰り返す場合、手術で涙囊を取り出すか、涙囊から鼻腔に別の涙の通り道を作るかすれば、根治します。薬物治療は、点眼治療、内服治療、症状が強くなる程悪化すれば点滴治療も行います。質問に書かれていた涙目の症状は鼻涙管が閉塞したため涙があふれでたことで起こる症状です。目やには涙囊に膿がたまったことで起こる症状です。目やに➕涙目🟰涙囊炎とはいえませんが、この二つの症状がある場合、涙囊炎も原因の一つの候補になります。

飛蚊症が出るようになったのですが、放っておいてもいいですか。

重大な病気が原因である可能性があるので、眼科受診をお勧めします。
眼球の中には、硝子体という透明なゼリー状のものが詰まっています。その硝子体の一部が混濁すると飛蚊症が起こります。混濁の形により、蚊やゴミのように見えたり雲や墨を流したように見えたりします。この飛蚊症はあらゆる年齢の人に起こりますが、高齢の人や近視の強い人に起こりやすいです。大抵は生理的飛蚊症(硝子体の老化による混濁)ですが、網膜剥離や眼底出血やぶどう膜炎などの疾患で起こる場合もあります。これらの疾患を放置すると失明に至る場合もあるので、早めに眼科受診されることをお勧めします。網膜剥離だと飛蚊症・光視症で始まることが多いですが、進行すると端の方から見にくい範囲が徐々に広がって来ます。その範囲が狭いうちに治療すれば、治療も簡単にすむし、結果も良いです。逆に進行してからだと大手術になるし結果も悪くなりがちです。眼底出血の場合も出血量が少なければ内服薬だけで治りますが、大量になると手術しなければ失明することも多いです。ぶどう膜炎の場合も治療が早ければ早いほど、網膜のダメージは少なく、治療後の見え具合に差が出ます。どの疾患も早期治療が大事なので、飛蚊症が出た場合早めの受診をお願いします。最後に飛蚊症の治療ですが、残念ながら薬物治療で飛蚊症をなくすことはできません。

私の母親は白内障のため見にくくなってきています。85歳ですが手術可能でしょうか。

もちろん可能です。
白内障は眼球の中にあるレンズが濁ってくる状態です。濁りがひどくなって十分な視力が得られなくなった場合、手術してレンズの袋の中を除去して、残した袋の中に人工レンズを挿入固定します。もともと眼の中にあったレンズには厚みを変えてピントを合わせる柔軟性がありますが、人工レンズはカチカチで厚みを変えることはできません。ですから人工レンズが単焦点レンズの場合一定の距離にしかピントを合わせることはできません。挿入したレンズが多焦点レンズなら色々な距離にピントが合わせられるという原理です。ただ多焦点なので単焦点に比べて見え方のくっきり感がなく、夜光を見ると少しにじんで見えるという欠点があります。ただ多焦点レンズの手術を受けた方の80%が見え方に満足しているようなので、術後老眼鏡を持ち歩く必要もないですし多焦点レンズを選択するメリットはあるかなと思います。しかしもともと眼の中にあるレンズはチン小帯という細い糸で吊るされて固定されているため、チン小帯が弱いと多焦点レンズの適応がありません。チン小帯の強さは年齢や近視の度の強さに影響されます。そのため80代で大丈夫かどうかは手術中に強さを確認しないとダメかどうかわかりません。術中の判断になるので、多焦点を希望されていても単焦点に変更されることもあると思ってもらっていた方が良いと思います。

一日中パソコンを使用しています。目が乾いて困っているのですが、予防法はありますか。

ドライアイの程度によって予防法は変わると思います。
パソコンを長時間使用し続けると自律神経が充分反応しなくなるため、涙液分泌も不十分になりドライアイを発症します。この状態が慢性的に継続すると眼の表面のバリアは破壊されドライな環境に対抗できない眼になってしまいます。その治療にはもちろん元凶のパソコンの使用状況の改善は必須ですが、壊れてしまったバリアの再構築も必要になります。眼の上皮細胞の表面に涙液が直接覆っている訳ではなく、間にねちゃねちゃしたムチン層があり、そのおかげで涙も均質に表面を覆うことができています。さらに空気が直接上皮細胞に触れることを防いでくれています。ドライアイの遷延化でムチン層が破壊されているなら、ムチン層の再構築からはじめなければドライアイは改善できません。そこまでいっていないなら涙液層の維持を中心に治療していけば良いと考えます。どの段階なのかは自分で判断することは難しいので、眼科医の意見に従って治療するのがいいかなと思います。

最近目が疲れるんですけど。

タイピング

近年、日々の仕事でパソコンモニターを見る時間が長くなり、目の疲れを訴える人が増えてます。原因として、

  1. ピント合わせに伴う、毛様体筋の疲労
  2. ドライアイに伴う、三叉神経刺激による疲労

が考えられると思います。
1の改善には、サンコバ点眼や漢方薬内服による治療が有効で、2の改善には、ドライアイの治療が有効だと思います。

糖尿病で失明するって本当?

糖尿病になると、血液中に多くの糖がベタベタと流れ、血管壁にくっついて血液の流れが悪くなるために、糖尿病性網膜症が起こります。この網膜症が進行してしまうと、失明してしまうこともよくあります。そうならないために、内科による血糖値の正常化が大切だと思いますが、私の経験では、高い血糖値を急に正常値にもっていった時に網膜症が悪化してしまう事がよく起こるので、数カ月かけて徐々に血糖値を下げて最終的に正常値にもっていくのが良いと考えます。

残念ながら、ある段階まで網膜症が進行してしまった場合、レーザーによる治療、さらに進行すれば硝子体手術も必要になるので、眼科での定期検査は必要不可欠です。

コンタクトを使っていますが、花粉症の時どうしたらいいの?

推奨されるのは、コンタクトの使用を中止することですが、どうしてもコンタクトを使用しなければならないのなら、1-dayが良いでしょう。1-dayの場合でも長時間使用してしまうと、コンタクトレンズが汚れたり、角膜に貼りついたりして、しばしばいろいろな病気を起こしてしまうので、長時間にならないよう気をつけて使用しなければなりません。もちろんアレルギー性結膜炎の点眼液の使用が必要ですが、鼻炎の状態が悪いままだと結膜炎のほうもなかなか良くならないので、鼻炎の治療も同時に行う必要があります。また花粉症の方は、その期間に限らず、コンタクトを使用すると、目が乾きやすいので,乾燥時には人工涙液を使用してください。

太りすぎは漢方薬だけで楽に改善できないの?

食べすぎ

食べ過ぎた翌日、体がむくんでいて重く感じるし、胸やけがして体調が悪い事ってありませんか?食べ過ぎた日には就寝前に漢方薬を飲んでおくと、翌朝排便されて一日快調に過ごせます。
漢方薬を使うとどんどんスマートになっていくという事はさすがにありませんが、太りにくくなる可能性があります。もちろん太っていくかどうかという問題だけでなく、アレルギー性結膜炎やアレルギー性眼瞼炎などの治療に有効なケースも多々あるので、ただ太りすぎているという問題を越えた問題の改善にも大変役立ちます。

冷えは万病のもと?

冷え性というのは、身体の末梢の血液循環が不十分になり末梢部の体温が低下する事で発症します。肩凝りが起こったり、頭痛が起こったり、胃腸が痛くなったり、生理がきつかったりといろいろな症状が起こります。さらに免疫力も低下するので、風邪を引きやすかったり、果てはがんを引き起こす原因になると思います。
だから目の病気の場合も、根底に冷え性がある場合には、目の対症療法だけを行ってもすぐに再発を繰り返す事があります。そのため根本の原因に冷え性がある場合、その治療が必要です。

便秘がアレルギーを悪くする?

便秘になると腸内では異常な発酵が起こり、善玉菌は減り悪玉菌が増えてしまいます。
この悪玉菌は厄介な奴で、腸内で毒素を産生するため、肌が荒れたり毒素を分解するために肝臓が酷使されて免疫も正常に働かなくなるため花粉症によるアレルギー性結膜炎・アレルギー性鼻炎・アトピーなどのアレルギーも悪くなります。
そのためアレルギー疾患を治療する場合、漢方薬で便秘も治療したほうが良い場合もあります。

木を見て森を見ず

目の角膜に傷ができている場合、ただ傷を改善する目薬を処方するだけでなく、なぜ傷ができたのか考えるようにしています。
汚れたコンタクトを使ったためか、コンタクトを着けたまま寝たためか、異物が入ったためか、亀裂のあるコンタクトを使用したためか、アレルギー性結膜炎がありすぐにコンタクトが汚れるためか、ドライアイのためか、など根本原因を見つけ出さなければ、繰り返し傷ができることになります。
一旦傷を改善するだけでは、本当の治療ではないと思うので、いつも病変を見た時それを起こした根本原因が何かを考えるようにしています。